社会階層の複雑化は「政党」の特定階級および業界利益に基づく「利益代表団体」という側面を消滅させた。
一方「政党」の表向き存在理由である、政治思想共有の「同志集団」という側面も、二大政党制を目指した選挙制度によって消滅しようとしている。
私は以前、これからの「政党」の存在理由は「選挙互助会」という側面しか残らないだろうと予測した。
そしてそれは今、第47回衆議院総選挙によって現実のものとなった。
与党の自民党と公明党は(表向きの)政治思想が大きく異なるし、野党各党もてんでバラバラな政治思想を掲げている。
それでも与党は連立しているし、野党も選挙区調整で対立候補の一本化を図らなければ勝てないので、ツルむしか無いのが実情である。
これが現実政治のリアリティであるが、我々がその現実を100%追認していけば、結局のところ政治が機能しなくなる事は明らかだろう。
今回の選挙で万一(億一か?)与野党が逆転したと想定してみても、よりマシな政権が誕生するとは、とても考えられない。
なぜなら、現在唯一国民の支持を受けている政治思想が、極端で偏狭なナショナリズムである以上、選挙互助会が生み出した政権は、確実に右傾化する運命を抱えているからである。
安倍・自公政権の急激な右傾化を選挙互助会で阻止することは不可能である。
これを食い止めるためには、左派による政治理念の軸を打ち出し、政党の枠を超えた幅広い議論を展開するしかない。
回り道のようだが、この道しか無いのである(安倍ちゃんの言ってる道じゃないよ)。
選挙が与野党の一騎打ちとなることは好ましい状況だが、肝心の争点が霧散したままでの政権選択選挙は意味が無いばかりか、危険でもある。
我々の立場では、短期戦術として、一本化野党候補への投票呼びかけも妥当と考えるが、その次の展望を見越した基本戦略を考えなければ、結果は敗北しか残らないと思う。
そう思っていたところに、注目すべき動きがあった。
大阪8区と9区、京都1区で一本化野党候補とは別に無所属の元職二人と社民党元職一人、計3人の候補が足並みを揃えて立候補したのだ。
大阪8区の社民党/服部良一氏、大阪9区の無所属/つじ恵氏、京都1区の無所属/平智之氏である。
この3人の候補には、「闘う労組」として有名な連帯労組が全面的にバックアップし、森田実氏や孫崎享氏、植草一秀氏ら知識人をはじめ、増山麗奈氏や下地真樹氏ら、錚々たる市民活動家までもが推薦人として名前を連ねている。
東アジア平和外交を実践する服部氏、司法改革の旗手・つじ氏、そしておなじみ「禁原発」の平氏がトリオを組んで「関西リベラルの結集」を唱え決起したのである。
野党票を分散させる…という批難は先刻承知の上だが、その先を見越した「政治理念の構築」は選挙の勝敗以上に重要かつ緊急であるとの考えから、あえて「無謀な闘い」を挑んだのだという。
その心意気や良し!
これは選挙互助会の政党を基盤にした政治構造を根底から作り替える、革命的な義挙である。
三氏の当選が、日本の政治に与える影響は計り知れないだろう。
必勝を期して頑張り抜いてもらいたい…と心より願う。
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