昨日6月20日(水)、陸山会事件小沢氏検審裁判で検察官役を務めた指定弁護士のグループが、東京高等裁判所(小川正持判事)に、控訴趣旨書を提出した。
内容は全文が入手出来ていないが、ほぼ「予想どおり」の戯言である。
一審判決では、土地の所有権移転期日が04年10月であることを、小沢氏が認識していなかった可能性があるとして、共謀の事実を否定したが、指定弁護士グループは「いや、絶対に知っていたはずだ!」と強弁するのである。
その根拠として、04年の融資申込書に小沢氏が自筆で署名している事実を挙げているが、これは全くの理論飛躍である。
預担融資の目的は、04年内の運動資金確保であり、土地代金支出とは直接的な関係性がない。
小沢氏は、土地取得期日を05年にしたいとする、石川氏の意向自体は報告を受け、了承していたのだろうが、所有権の移転が04年であったという事実は認識していなかった…というより、これは石川氏を含め誰も、その認識を持ち得なかったというのが正解だ。
04年に所有権が移転したという事実は、11年9月の登石判決によって初めて認定されたものであり、それまでは「移転期日を04年(代金決済時)にしようが、05年(本登記時)にしようが、政治資金規正法上なんら問題はない」と言うのが全関係者にとっての共通認識であった。
代金決済時を土地取得日としなかったことで、政治資金規正法に違反するという認識を、当時会計の素人である陸山会の経理担当秘書が持ち得なかったことは当然であるが、会計のプロである司法書士や、不動産取引の仲介業者、さらには「最高権威」と言われる筑波大の弥永教授までもが「05年取得とする記載は適法」と解釈していたことが、公判証言で示されている。
登石判決では、取得期日を代金決済時としなかった事自体については犯罪性が薄いとしながらも、その行為の背景動機に「闇献金」等、不正な収入の隠蔽があったと推認し「有罪判決」を下した。
つまり「04年に所有権移転」という認定は、証明できない不正収入で無理矢理罰するための恣意的解釈であり、明らかな司法原則からの逸脱である。
大善判決は、登石判決の事実認定を追認しながらも、違法性の認識を持ち得なかったという、当然の事実を元に「無罪判決」を下している。
小沢氏は、04年に代金決済が終わっていることすら認識していなかった可能性があるのみならず、たとえ決済の事実を知っていたとしても、取得期日を05年とすることの違法性は認識できるはずもない。
もし指定弁護士グループがこれを否定しようと思うなら、当時、小沢氏の顧問弁護士やブレーンなどが「05年取得と報告書に記載すれば、政治資金規正法違反になりますよ」というアドバイスを小沢氏にした…という事実を証明しなければならない。
彼らも弁護士であれば、そんなアドバイスが出来る者など皆無であったことは、容易に想像できるはずだ。
ミスター推認の登石判事ですら「不正収入の疑義」が無ければ有罪にできなかった事案である。
小沢氏検審裁判では、最初から「不正収入の疑義」が争点とされていないのであるから、結果は審判が始まる前から確定しているのであり、裁判自体が税金の無駄遣いである。
大善法廷が認めなかった「違法行為の認識」も「行為の違法性認識」も、証拠・証言による証明は不可能である。
指定弁護士グループは「知っていたはず」「認識していたはず」という、個人的な思い込みだけで「控訴趣旨」が成立すると、本気で思っているのなら、法曹会に身を置く資格がないと断じざるを得ない。
私は第二東京弁護士会に対し、彼ら三名の「懲戒請求」を正式に申し入れようと思う。
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