討論Bar“シチズン”マスターの西岡が、政治、司法、時事等に関する辛口コメントを書き綴ります
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関西電力の今夏節電目標は「15%」らしい。
しかしこれは昨夏と比較した目標ではない。
一昨夏、2010年夏と比較して「15%」の節電目標なのだ。
なぜ2011年夏と比較した目標数値を出さないのか?…と、ずっと不思議に思っていたのだが、関西電力HPにある資料を閲覧して、理由が分かった。
2010年夏の最大供給電力は3009万Kwだ。
一方、2011年の最大供給電力は2668万kw。
つまり、2010年と比較して2011年は、ピーク比較で11.3%の節電を達成している。
であれば、今年は昨年の節電努力にプラスして、あと3.7%節電すれば良いだけのことである。
さすがにこれではインパクトが弱い。
せめて目標数値は二桁でないと、危機感を演出できない。
だからこそ、2010年夏と比較しての目標数値ばかりを喧伝するのだろう。
また、数字のトリックはこれにとどまらない。
2010年夏との比較で15%の節電目標と言うことは、関電の今夏供給電力リミットは3009万kwX0.85で、2258万kwだと言うことになる。
しかし、今年2月に全原発が停止した状態で、関西電力の電力供給力は2631万kwであると発表されているのであるから、上の供給力見込み数値は低すぎる。
さらに関電は、今夏の供給力容量の内訳で、揚水発電を昨夏より200万kw程度低めに見積もっているし、他社融通電力は各社発表の合計数値より150万kwも少ない計算になっている。
まともに計算すれば、今夏電力は足りている。
これで「計画停電」など実施するなら、原発再稼働を認めさせるための「恫喝」としか考えられない。
わずかな営業努力で安定供給が出来るにも関わらず、「恫喝」のためにその努力を放棄し、計画停電で利用者に大迷惑をかけるようなことがあれば、私たちは関西電力を「安定供給義務違反」で提訴しなければならないだろう。
29日の官邸前抗議運動は圧巻だった。
反原発運動は40年以上前からあったが、ほとんどが建設反対や稼働停止を求める住民運動のようなもので、今回のように政権打倒を訴える…という政治的色彩の濃い、大規模な抗議活動は珍しい。
これは3.11原発事故に対する政府対応に国民の不信感が爆発したからである。
原発は、ひとたびシビア・アクシデントが発生すれば、その被害は天文学的な規模に及ぶ。
にも関わらず、政府は被災者への支援や保障を出し渋り、事故収束に向けた具体的な対策に手をこまねいている。
安全確認は、将来の安全計画を策定しただけの机上空論で、その計画が実施される保障もなく、実施されたからと言って「絶対安全」であるわけでもない。
誰が見ても頼りないことこの上ない「安全確認」(実際は「安全不確認」)を拠り所にし、活断層の直近に立つ大飯原発の再稼働を、たった四人の関係閣僚が強引に決定してしまうという異常な政府行動に対し、多くの国民が「怒り」を感じているのだ。
その「怒り」の表出が、昨日の官邸前大抗議行動であったと言ってよいだろう。
政府の本来の使命は、国民の生命と安全を守ることであり、電力会社の利益を守ることではない。
このことを、総理や関係閣僚がしっかりと心得ていたなら、3.11事故直後、全電力会社に対して全原発即時停止を命じ(要請ではない)、徹底的な点検と安全施策を指示して、再稼働には高いハードルを設けるのが、当然の政策だったはずだ。
電力不足を口実にして、原発停止を躊躇するのは優先順位の取り違えである。
たとえ、一時的に経済活動が被害を受けても、国民の生命と安全を守ることを優先するのが政府のとるべき道だった。
これこそ「決めることの出来る政治」である。
しかし菅政権も野田政権も勇気ある決断が出来ず、経産省と財界の意のままに動く「ロボット政権」たる真骨頂を発揮した。
国民の「怒り」は、まさにこの部分にある。
27日の東電株主総会で、東電は「実質国有化」されることが決まった。
国が国民の為の政治を行うのであれば、民間企業の暴挙を制御する権限を国が得ることは歓迎だ。
しかし、国が国民に向き合わず、電力マフィアの利益に沿った政治をするのであれば、「実質国有化」など茶番である。
それは「電力会社の国有化」ではなく、「国の電力マフィア有化」と言うべきだろう。
東電救済のために使われる血税は、原発推進のために使われる。
国民の金で国民の生命、安全を脅かす、暴走・野田政権は一刻も早く打倒しなければならない。
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