6月23日、読売新聞に続いて共同通信が「田代停職、佐久間戒告、両方不起訴の方針」を記事にした。
滝法務大臣の「来週中に人事処分の結論を出したい」という記者会見コメントを紹介し、26日(火)決定の憶測を綴っている。
おかしなことに、法相は「人事処分の」としか言っていないのに、記事では「刑事処分と人事上の処分を行う方向で調整」とある。
田代検事も佐久間元部長も、検察庁の内規に違反したことは事実であるから「人事上の処分」も当然であるが、だからと言って「刑事処分」を逃れられるものではない。
両者は全く別の話だ。
虚偽捜査報告書事件は、有印公文書作成および行使という刑事犯罪である。
虚偽が明白な田代検事の捜査報告書は言うにおよばず、元副部長の斉藤報告書は佐久間氏の作という、日経記事が事実であれば、佐久間元部長も同様の犯罪に手を染めたことになる。
さらにこれは「書類の書き間違い」などと言うレベルの話ではない。
明らかに、一人の有力政治家を「冤罪」に陥れるため、検察審査会の議決を誘導する意図をもって、公文書を「捏造」した、重大犯罪である。
しかし、ここで大事なことは、「虚偽捜査報告書事件という枝葉に目を奪われていてもいけない」ということだ。
西松建設事件から陸山会事件、小沢氏裁判にまで至る東京地検特捜部の全挙動は、最初から最後まで「ひとつの意図」で貫かれており、それがドス黒い「政治的意図」であることは、誰の目にも明らかであろう。
一部の法曹界評論家たちは、検事の「功名心」「出世欲」「面子、権威を守る」意識が、この事件を生み出したと分析するが、これは「木を見て森を見ない」の典型である。
検事の個人的意図に基づく犯罪に対して、メディアスクラムが露骨な擁護をするだろうか?
上級庁(最高検、法務省)が火消しに躍起なのは何故なのか?…などなどを考えれば、真相は自ずと見えてくるはずだ。
東京地検特捜部は巨大な権力犯罪の中で、作戦の一部を担当した駒にすぎない。
「陰謀論」という言葉は嫌いだが、権力闘争には「陰謀」がつきものなのだから、その「線」を最初から除外する見方は間違いを犯す元だろう。
一連の事件は、権力機構の上層部が検察、マスコミ、司法を利用して行った遠大な謀略の表出部分であり、全体像はまだまだ「闇の中」なのだ。
だからこそ、徹底的な捜査が必要なのだが、これを妨害する者たちは、現時点で絶大な権力を手にしているため、生半可な追求では追いつめることなどおぼつかない。
尻尾を掴んだと思って、思いっきり引っ張ると「プツン!」と切れて逃げられる。
慎重にたぐり寄せ、次は後ろ足を掴み、胴体まで見えて来たら一気に捕捉しなければならないのだ。
権力機構の歯車にすぎない警察、検察、裁判所が、巨大な権力犯罪を裁くことに期待するのは、能天気なお人好しだろう。
今こそ「政治」の出番であり、覚醒した圧倒的多数の国民が立ち上がる時である。
原発、消費税、TPP…、それぞれ別個の政策課題であるように見えるが、陸山会事件と検察不祥事、さらには政局の大混乱などを通して大局的に眺めれば、対立の根本構造が見えてきて、さらにそれらは「同一」のものであることが、朧げながら分かるだろう。
同時に、私たちが立ち向かうべき「敵」」がいかに強大であるかも、しっかりと認識できる。
しかし、もはや火蓋は切って落とされたのである。
もう後退はできない。
ひるまず進め、我らが友よ、敵の鉄鎖を打ち砕け!
[56回]
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